天然石・パワーストーン

天然石との相性、不思議なパワー体験物語


僕はその光に魅せられた。

その不思議な魔力に引き込まれた。

それは、まるで、僕に向かって優しく語り掛けるように、優しく微笑みかけるように、やわらかい光を放っていた。

正確には、光っていたわけではない。

だがしかし、僕の目には、それが淡い光を自身が発しているように映ったのだ、確かに。

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「おい、小倉」
そう言われて肩を軽く叩かれ、僕はハッと我に返った。

「なにボーっとしてんだ。お前、まるでこの石に吸い寄せられるようだったぞ」

そう笑うのは同僚の大山。

あっけらかんとしていて、常にポジティブなこの男は、子ども2人と奥さんとの4人家族を支える大黒柱で、上司からもウケが良く、僕よりも一足先に昇進し、今は僕の上司というポジションにいるが「敬語なんか使うなよ。入社した時からずっと同期として仲良くしてきたじゃねえか」とサラっと言ってくれるような、そんな良い奴だ。

この日は大山と一緒に登山に出かけ、その帰り道に鉱石を扱った土産物店に入ったのだ。

鉱石といえばパワーストーン。天然石を加工し、アクセサリーなどに仕立てたものが「ラッキーストーン」として、また「恋愛運」や「金運」など分野を細かく分けて、不思議な力、ご利益がある石として売られていた。

その一角に、ある天然石が置かれていたのだ。

それは、加工されずに、そのままの姿で鎮座していた。

なんだろう、水晶の類だと思うのだが、ただ白いだけでなく、かといって紫水晶や紅水晶とも特定できないような微妙な色合いも混ざっていて、少々乳白色ににごってもいるような、そんな容貌だった。

大きさは人の手の大きさほどで、ゴツゴツとした野性味溢れる姿は、ひときわ存在感を放っていた。

僕は、なぜかその石に突然引き寄せられた。

正体の分からぬパワーを感じ、魅入られたように石の前へと進んで、凝視した。

時が止まったようだった。

一瞬、周囲の音も消えたようだった。

僕と石だけの不思議な空間が生まれたようだった。

そこで、大山に肩を叩かれて我に返った僕だったが、そのやりとりを見て、土産物店の販売員の格好をした老婆が話しかけてきた。

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「販売員の格好」とあえて断ったのは、山に籠っていそうな、どこかのイタコか占い師か、霊媒師か、何かそんな雰囲気を身にまとっていたため、服装だけが妙に浮いているような印象を受けたからだ。

「お兄さん、その石と相性が合うのかもしれませんね」
老婆はそう言った。

「相性?」

「そうです。天然石、俗に言うパワーストーンは、相性・波長の合う持ち主の手に渡るとその効果を発揮すると言われているんです。そして石は常に自分にふさわしい持ち主を探している。持ち主になるべき人物を見つけると、呼び声をあげると言われています」

そんな事は初めて聞いた。

という事は、この石は僕を呼んでいたという事になるのか。

老婆は、しかし、だからといって営業トークに突入する事もなく、そのまま売り場の別の場所へと去っていってしまった。

ちらりと値札を見やると、手の届かない金額ではなかった。

が、ここで即決して、このたまたま気になっただけの天然石を衝動買いするほど、僕は馬鹿ではない。

大山からも「お前、まさかコレ、買う気じゃないよな?」と聞かれて「まさか」と笑って答えた。

「でも、まぁ、なんだろう、変な、不思議な、縁のようなものは感じたんだよね。撫でてご利益があればまた戻って来ようかな」

そう、軽く冗談めかして大山に告げ、天然石を撫でる。

すると、ふわっと体の中を何かが駆け巡ったような気がした。

体温が一度上がったような、変な表現だが、この言い方が最も相応しかろう。

にわかに体が熱をもって、じんわりと温かい血液が体内を巡って、僕はまた石を凝視してしまった。

「ご利益があったら、本当にご利益があったら、その時はお前を迎えにくるよ」

そう、誰にも聞かれぬよう心の中で石に話しかけた。

そしてその日は大山と店を後にした。

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僕の生活は、なんというか、大山とは対照的とまではいかないが、なんとも残念なものだった。

子どもはなく、嫁と2人暮らしで、完全に嫁の尻に敷かれている。

結婚できただけまだ良いと思うようにしてはいるのだが、家ではひたすら嫁の言いなりで、立場というものが無かった。

会社でも、大山に先に出世され、自分はというと、ギリギリのところでどうにか食いつないでいる次第だった。

世の中には自分なんかよりもずっと大変な生活を強いられている人がいるのだから、自分はまだマシと思うようにして、どうにかやり過ごしていた。

しかし、世知辛いもので、ここ最近、歳のせいか体のあちこちに不調が出てきていて辛い。

腰が痛み、方が凝り、目の奥まで鈍痛が走るようになった。朝起きると体の節々が痛んだりして、歳を取ったなぁと実感していた。

筋肉痛など2日も経った夜頃に出てくる。

まったく、老いは嫌なものだ。

こんな感じで全く冴えない日々を過ごしていた僕は、ヒマな時間になると、あの天然石の事が気になるようになっていた。

山から帰ってきてから、数日。特にこれといって変わったことはない。

やっぱり「そんな気」がしただけで、あれは勘違いだったに違いないと思って、何やら不思議なパワーを感じたような気がしていた自分を笑って「疲れてるのかな」などと思う事にしていた。

それでも、気が付くと、あの不思議な魅力の事に思考が向いてしまっていた。

あの輝き。あの温かさ。

僕を呼んでいるような、そんな声がしたような、今思うとどこからが僕の想像なのか、実際に感じた事なのか、分からなくなってしまっていたが、とにかく石と、どこかで繋がったような感覚があったのだ。

手元に置いておきたかったのかな。

そう思った。

パワー云々ではなく、純粋に気に入っただけで、自分のすぐそばに置いておきたいだけだったのかもしれない。

それを、魅入られたとか、石に呼ばれたとか、そんな風に勘違いしているだけなのかもしれない。

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それから、更に数日経ち、会社の仲間でちょっとした賭け事をした。

ギャンブルの真似事で、ポーカーで遊ぶことになったのだ。

ポーカーなんて、ルールさえもよく知らなかったが、興味本位で試してみた。

すると、驚くなかれ、僕は初めてのポーカーで大勝利を喫したのだ。

大した金額を賭けていたわけではないが、それでも臨時収入が入り、僕は浮かれた。

仲間たちは「ビギナーズラックって本当にあるもんだなぁ」と目を丸くしていたが、僕にはひとつの確信があった。

あの天然石だ。

やはり、あの天然石のパワーは本物だったのだ。

ビギナーズラックなんてそんなチマチマしたものではない。

なぜなら僕には勝利への確信があったからだ。

「大丈夫」と脳内でささやく声が聞こえたからだ。

これは、自分だけの運ではなかった。

あの石が僕にツキを運んでくれたに違いなかった。

僕は、ご利益が出たらまた戻ると石と約束した事を思い出して、後日、一人であの売店を訪れた。

天然石は、同じ場所に同じように鎮座していた。

「ありがとう」

そう、石を撫でながら心の中でつぶやくと、また石から温かいパワーが流れ伝ってきたような気がした。

これはもう、この子を自分のもとに置いておくより他ない。

そう確信した僕は、最初から購入するつもりでもってきていた金をそのまま店に置いて、石を連れ帰った。

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今思うと、その時の購入金額は、ポーカーで勝ち得た賞金と同額だった。

そうか、石は、自分を買ってもらうために僕にポーカーに勝たせたのかな、そう思った。

そう思うと途端に石が愛おしくなり、僕は、それはそれは大切に石を可愛がった。

天然石はきちんとケアをしてやる必要がある。

流水で浄化したり、月光浴をさせるのだ。

僕は日々石のケアに励み、大事に大事に扱った。

すると、早速石の効果が出始めた。

身近なところで、嫁が商店街のくじ引きで一等を引いたのだ。

とても喜んだ嫁は、家に持ち帰った当初こそ「なんでそんなくだらないもの買ってきたの」と僕に憤慨して石の事も馬鹿にしていたが、人が変わったように「あの石のおかげかもしれない」と石に感謝し、それを見つけて持ち帰り、甲斐甲斐しくケアする僕にも感謝するようになった。

あまりの豹変ぶりに最初こそ「絶対ウラがある」と疑っていた僕だが、おそらく石のパワーそのものが、嫁の目に僕をより一層魅力的に映しているようだった。

嫁は新婚当初よりも僕にくびったけだった。僕は気を良くして、嫁の事も大事にするようになった。

嫁の小言からのストレスから解放されると、心身ともにのびのびとした状態になれたようで、僕の体の不調も次々と良くなっていった。

目、肩、腰の痛みは軽減し、若かりし頃の体力に戻ったように元気になった。

その快活さが会社でも認められ、上司たちが僕を見る目が変わってきた。

仕事でも僕が関わった大きな商談などが上手くいったり、何かハプニングが起きた時には僕のフォローで事なきを得たような、そんなシーンが多くなり、僕はついには大山と同じポジションを経て、その上のランクにまで出世できた。

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大山は元々人が良いので、僕の出世を素直に喜び祝福してくれたし、大山は大山なりに自分の幸せを満喫していた。そのため、僕たちの関係も崩れずに、変わらず仲良くしていた。

天然石は、どうやら僕のみならず、僕と良好な関係を結んでいる人間にも素晴らしいパワーを発揮するようで、大山は自分がずっとやりたいとかねてから言っていた仕事に就くべく転職に成功した。

元々いた会社ではある意味ライバル関係だったので、何かひずみが生じるのを恐れていた僕にとって、このニュースはとても喜ばしいことだった。

大山は転職先の会社でめきめきと力を発揮して、幹部役員にまであっという間に上り詰めてしまった。

一方の僕も、次々と会社で功績を残し、社長と直々に会議できるポジションにまで上り詰めた。

ずっと子宝に恵まれなかった我が家にも一人の女の子を授かり、高齢出産に片足を突っ込んでいた嫁も、安産で母子ともに健康な状態で出産できた。

その可愛さといったらなく、僕は娘を溺愛した。

その間ずっと我が家、そして僕の大切な職場や友人たちを見守ってくれていたのはあの天然石だった。

天然石は、我が家の家宝になった。

娘にも水晶から漢字をとって「晶美」という名前をつけて、その由来もことあるごとに話して聞かせた。

色々な幸運に恵まれる事も多く、あまりギャンブルにのめり込まないよう自分を律してはいたが、それでも付き合いなどで賭け事に参加すると必ずといっていいほど、黒字になった。

この幸運がいつまで続くか分からない。

分からないけれど、ずっと流水浄化と月光浴、そして信じて愛する心を失わずに天然石の事を大事にし続けている限りは大丈夫、という確信があった。

そんな風に天然石が言ってくれているのが分かった。

実際に言葉を交わす事はなくとも、僕と天然石は確かにどこかで通じ合っていた。

それは、もう宇宙的なパワーで、人知を超えた何かだった。

その何かに魅せられて、石からのメッセージに耳を傾けて、たった一度の幸運を「自分のビギナーズラックだから」と解釈せずに石の恩恵と分かり、きちんとお礼を言いに行き、そして連れ帰ってからも大切にし続けた、その男の人生は、こんなにも素晴らしく輝いているのだ。

ここで僕は断言しよう。

天然石、パワーストーンのパワーは本物だ。

そして、石は自分と相性・波長の合う持ち主を常に探し続けている。

その持ち主を見つけると、何らかのメッセージを発する。

このメッセージは間違いなく届くはずなのだ。

なぜなら相性・波長が合っているのだから。

メッセージに気づいた人間が失敗するのは、自らの内なるものに訴えかけてくる天然石の声に耳を傾けず、発せられる未知数のパワーから目を背け、自分の勘違いとか「なんかそんな気がした」程度の感想でその場を去ってしまうからだ。

このチャンスを逃してしまえば、もう天然石の不思議な力を実感する事もなく、その恩恵にあやかる事もなく、幸せな人生を取りこぼしてしまうかもしれない。

人生、努力だけでなんとかなるものでもなかろう。

運も必要なのだ。

その運のカギを握っているものこそ、天然石、すなわちパワーストーンなど、未知なるパワーを秘めたものたちだ。僕はこの力を信じているし、現にその力のおかげで、幸せを手に入れたのだ。

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