恋愛小説

両手から溢れるほどの愛情~短編恋愛小説


“パパ、泣いてるの?ママは?どこ?”

“優衣、パパ泣くのは今日だけだ。明日からは笑うよ。だから、優衣もママがいなくても笑っていような。そしたらきっと、ママも喜ぶから”

“うん!わかった!”

ママはパパを裏切った。浮気をして家を出て行った。小さかった私はただ笑ってた。パパのおかげで今も笑っていられる。


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朝 学校

(クラスメート)「おはよう」

(山口優衣)「おはよう!」

(酒田昇)「山口さん今日も元気だね」

(山口優衣)「あ、酒田くん!元気だけがとりえだからね!」

酒田昇。爽やかで、落ち着いた口調に、サラサラの黒髪。

私は山口優衣。明るいのがとりえ。ボブヘアーの茶髪に体型は小柄。身長もうちょっと伸びてほしかったな。

急に私の頭をワシャワシャとかき乱す。

(山口優衣)「何?!」

(登歩田智)「昇に色目使ってんじゃねーよ」

(山口優衣)「使ってないよ!普通に喋ってただけだよ!髪の毛ぐちゃぐちゃになっちゃうじゃん!登歩田くんのバカ!」

登歩田智。荒っぽい口調に髪は金髪。女嫌いのくせに何故か私には普通に話す。女としてカウントされてないのか?

(横里朋美)「優衣ちゃんおはよー、皆もおはよー。」

(山口優衣)「おはよ!朋美ちゃん」

横里朋美。茶髪にストレートのサラサラロングヘア。

(桐多龍希)「ごめんね、そこどいてくれないかな、優衣おはよ」

(横里朋美)「あ、ごめんね」

(山口優衣)「おはよう、桐多くん」

桐多龍希。赤髪にグレーのメッシュ。普段静かな性格。柔らかな口調。私の頭に手をおいてから自分の席に腰かけた桐多くん。

(横里朋美)「いいなぁ優衣ちゃん」

(山口優衣)「そんなこと無いよ、桐多くん気まぐれだし」

(横里朋美)「ふーん」

納得いかないようすの朋美ちゃん。

(登歩田智)「なぁ、山口。放課後カラオケ行こうぜ!」

(山口優衣)「うん!皆に伝えとくね!じゃ、また後でね!」

自分の席に向かった。登歩田くんのため息が聞こえた気がして彼の方に視線を向けたとき、隣の席の酒田くんが笑っていた。

(酒田昇)「智は山口さんと2人で行きたかったんだと思うよ」

(山口優衣)「え?!そうなの?!登歩田くん女子苦手でしょ?」

(酒田昇)「智は山口さんに救われたからね、あの時。学校の裏庭で」

“(女子生徒1)「登歩田くん、そんなにおびえなくても大丈夫だって。ちょっと脱ぐだけ」

(登歩田智)「触るな!」

(女子生徒2)「おびえてて可愛いんだけど!」

(女子生徒3)「写真撮っておこうよ!早く脱がして!」

(山口優衣)「何してるの?」

(女子生徒1)「…!誰あんた!関係ない奴は引っ込んでな!」

(山口優衣)「もう一回聞くよ、大事なクラスメートに何してるの?」

(登歩田智)「山口…」

(山口優衣)「そんなに脱がしたいの?じゃぁ脱いであげる、登歩田くんじゃなくてもいいでしょ?私でもいいでしょ?」

(女子生徒2)「何してるの?!」

(山口優衣)「脱いでるの、写真撮って良いよ、私スタイルには自信あるから。」

そう言ってセーターを脱いだ。そしてブラウスのボタンに手をかけ一つ一つ外していく。

(女子生徒3)「こんなところ見られたらやばくない?こいつ頭おかしいよ絶対。」

(女子生徒1)「もう行こう」

女子3人は走り去っていった。

登歩田くんはしゃがみ込み自分を抱きしめ震えていた。

(山口優衣)「登歩田くん大丈夫だよ」

そう言って肩に触れた。

(登歩田智)「触るな!」

(山口優衣)「私は恐いことしないよ」

そう言って包むように抱きしめた。

(山口優衣)「人の温もりは恐いものばりじゃないよ、私は登歩田くんを傷つけることはけしてしない。約束する。だから、おびえないで」

(登歩田智)「山口…」

(酒田昇)「助けに来たんだけど…大丈夫みたいだね。山口さん。ボタンしめたほうがいいよ、下着見えてる」

(山口優衣)「酒田くん、あ、忘れてた」

(登歩田智)「!お前離れろ!」”

(酒田昇)「智、お姉さんの友達におそわれかけたことがあって、トラウマだったんだよ。でも今は山口さんには大丈夫みたいだね。」

(山口優衣)「そうだったんだ…助けたこと結構前だから忘れてたよ」

(酒田昇)「あはは、山口さんらしいね」

私はただ救いたかっただけ。震える子犬のような登歩田くんを。

放課後

(横里朋美)「皆でカラオケ楽しみー!」

(山口優衣)「そうだね!…カラオケで何か頼んでも良い?お腹空いた」

(桐多龍希)「いいんじゃないかな」

目を細める桐多くん。その時。

(女子)「触らないでよ!行かないって言ってるでしょ」

(男)「大丈夫、変なことしないからさー。遊ぼうよー。」

女の子が男の人に絡まれていた。

(山口優衣)「あ!こんなところにいた!探したよ!」

そう言って私は彼女の手を引いた。

(女子)「え?」

とっさにとった行動。

(男)「何、何?君も?じゃぁ一緒?どう?」

(山口優衣)「ごめんね、後ろに連れがいるから」

(男)「後ろ?…帰ります」

登歩田くん達を見て逃げていった。

(山口優衣)「大丈夫?」

(女子)「うん、ありがとう、助かったわ」

綺麗な子…。綺麗な巻き髪に綺麗に揃った前髪、アッシュに近い茶髪。透き通った白色肌に整った顔だち。

(横里朋美)「ねぇ早くカラオケ行こー」

(女子)「あ、ごめんね、ほんとうありがとう。じゃぁ…」

(山口優衣)「待って、手震えてる。まだ恐いんじゃない?もしよかったら一緒にどう?」

(女子)「え、でも…」

(桐多龍希)「大丈夫、俺達は近づかないから」

(酒田昇)「うん、嫌なことはしないよ」

(山口優衣)「ね、一緒に歌おう」

(女子)「うん、お邪魔しようかな…私、ももか」

(山口優衣)「ももかちゃんかぁ、私、優衣よろしくね。」

(ももか)「よろしく」

あ、笑ったらもっと可愛らしくなる。

カラオケ

(登歩田智)「おい!ももか!山口の隣りあけろ!」

(ももか)「嫌だ」

私の左側は壁、右側はももかちゃん。

(山口優衣)「私、トイレ行ってくる」

(ももか)「わたしも」

(山口優衣)「ふふ、ももかちゃん子犬みたいで可愛い。高校生だよね?何年生?」

(ももか)「1年、優衣さんは?」

(山口優衣)「2年だよ、1年お姉さんだ、ふふ。身長は負けてるけどね」

(ももか)「小さい方が可愛いよ」

(山口優衣)「ありがとう」

トイレをすまして部屋に戻ると。

(横里朋美)「昇くんー。歌わない?」

(酒田昇)「俺は聞いてる方が楽しいから」

(横里朋美)「えー。龍希くん、一緒に歌おうー!」

(桐多龍希)「俺はちょっと休憩するよ」

(横里朋美)「つまんないー。智くん!何か歌って!」

(登歩田智)「今、そういう気分じゃない。」

なんか、空気が重い…

(山口優衣)「ただいまー」

(酒田昇)「おかえり、何か一緒に歌う?」

(桐多龍希)「優衣が好きだって言ってた歌、歌えるようになったよ」

(登歩田智)「ロック歌おうぜ!ロック!」

(ももか)「優衣さんモテモテだね」

(山口優衣)「そんなことないよ、初めから仲良かったわけじゃないしね」

(ももか)「そうなの?」

(山口優衣)「うん、酒田くんとかはすっごく冷たかったよ」

“(男子1)「お前生意気なんだよ!」

(酒田昇)「頭悪い君達がいけないんじゃない?」

(男子2)「はぁ?!その上から目線が生意気だって言ってんだよ!」

(山口優衣)「正直わたしも生意気だと感じるときもある。でも、直接酒田くんが何かした?こういうことは間違ってる」

(男子1)「…」

(男子2)「もういい、しらけた」

そう言って教室を出て行った。

(酒田昇)「山口さんって結構はっきり物事言うんだね、こっちがすっきりした。」

(山口優衣)「そう?思ったことそのまま言っただけだよ、助けたわけじゃないから、誰かが傷つくの見たくなかっただけ。ふふ。じゃぁ私帰るね。また明日」

酒田くんは何も言わなかった。

翌朝、学校

(酒田昇)「正直者の山口さんおはよう」

(山口優衣)「おはよ、その呼び方、嫌だな」

(酒田昇)「はは、山口さんのこと気にいっちゃったみたい。」”

(山口優衣)「それがきっかけで仲がよくなったの」

(ももか)「意外、あの中で一番優しそうなのに」

(山口優衣)「ふふ、人は見かけによらずだよ」

(ももか)「優衣さんのほうが見た目によらずだと思う。」

(山口優衣)「え?」

(ももか)「守ってあげたくなる見た目なのに中身は真逆」

(山口優衣)「あはは、小柄なだけだよ」

(桐多龍希)「何の話してるの?」

ひょっこり出てきた桐多くん。

(山口優衣)「酒田くんの仲良くなったきっかけの話してた!ふふ」

(桐多龍希)「俺の話もしていいよ」

(山口優衣)「いいの?」

(桐多龍希)「うん、もう吹っ切れたし」

“(女子生徒1)「5千円でデートしてくれるってほんとらしいよ!」

(女子生徒2)「5千円はらう!デートしたい!あ、山口さん聞いた?桐多くんお金払ったらデートしてくれるらしいよ!」

(山口優衣)「そうなの?凄いね。私には別世界かな」

(クラスメート男子1)「桐多も可哀想だよな、母親が金づかい荒くて借金してあいつが返してるんだろ?」

(クラスメート男子2)「でもいつか女子のもめ事おきそうだよなー」

ある日、屋上でお昼を凄そうとしたとき、声が聞こえた。

(女子1)「一万払うからエッチしてよ」

(桐多龍希)「ごめんね、それはできない」

(女子2)「何でよ!金払うって言ってるじゃない!」

(桐多龍希)「好きでもない子とセックス出来ない。」

(女子2)「じゃぁ、じゃぁ!二万は!?二万払う」

(山口優衣)「私なら三万払うわ、でもセックスには興味ない」

(女子1)「誰?!いきなり割り込んでこないで!」

(山口優衣)「うるさいなぁ、桐多くん三万払うから私を選んで」

桐多くんは動揺しながら私の名を呼んだ。

(桐多龍希)「山口さん」

(女子1)「結局金かよ、桐多くん最低」

(山口優衣)「欲望の固まりに言われたくないと思う」

(女子1)「!あんた最低!」

そう言って屋上を後にした。

(桐多龍希)「山口さん…」

(山口優衣)「あ、お金ね…はい、三万円」

財布から三万を取り出し渡した。

(桐多龍希)「どうしたらいい?」

(山口優衣)「ずっとしかったことがあるの、少ししゃがんでくれる?」

(桐多龍希)「…うん」

わしゃわしゃと彼の髪をかき乱した。

(山口優衣)「赤髪の手触りずーと気になってたの!予想外!サラサラだね!それが三万の価値…あ、あと」

そっと頭を抱きしめた。

(桐多龍希)「山口さん?」

(山口優衣)「ちゃんとこうやって愛情もらってる?…はいこれでおしまい!」

(桐多龍希)「はは…」

(山口優衣)「今まで辛かったね、こうゆう形でお金を稼いでも心が死んじゃうだけだよ」

(桐多龍希)「うん、ちゃんとしたところで働くよ」

(山口優衣)「あ、あとまだあった。」

頬にキスをした。驚く桐多くん。

(山口優衣)「涙止まった!桐多くんは笑ってた方が格好いいよ。でも泣いてる姿はレアだね!ふふ」

(桐多龍希)「山口さん…優衣は変わった子だね」”

(山口優衣)「懐かしいなぁ」

(桐多龍希)「まぁあれからすぐ母親再婚して借金返したから働かなくてすんだんだけどね」

(ももか)「優衣さん本当に凄い」

(山口優衣)「凄くないよ、あの時偶然お金持ってただけだしね」

(桐多龍希)「自覚無いの凄いよね、ももかちゃん」

(ももか)「うん、優衣さんの良いところだね」

(横里朋美)「何の話してるのー?」

(桐多龍希)「何でもないよ、それより歌わないの?」

(横里朋美)「私ばかり歌ってて皆歌わないんだもん、聞いてないし。」

(山口優衣)「じゃぁ私歌うよ、朋美ちゃんも一緒に歌おう?」

(横里朋美)「いいよ、どうせ誰も聞いてくれないもん」

(酒田昇)「山口さん歌うの?」

(登歩田智)「お、何歌うんだ?俺も一緒に歌う!」

(横里朋美)「何それ…優衣ちゃんばっかりずるい!私の方がこんなに可愛いのに!」

(登歩田智)「出た、本性」

(酒田昇)「山口さんが何も言わないから俺たちも口出ししなかっただけで、君なんて興味なかったよ」

(桐多龍希)「君みたいな子が優衣と同じように扱われるわけないでしょ」

(横里朋美)「…!皆ひどい!」

(酒田昇)「横里さん、知らないとでも思ってた?裏では山口さんの悪口言ってたの皆知ってたよ」

(横里朋美)「…」

黙り込む彼女。

(山口優衣)「大丈夫、私も知ってたから。でもそんなの気にしてたらきりがないじゃない。皆に近づきたくて私を利用してたのなんて最初から分かってた。」

(酒田昇)「山口さんも知ってたんだね。」

(登歩田智)「流石、山口だな!」

(桐多龍希)「そのへんの女の子と違うよ優衣は」

(横里朋美)「こんな女のどこがいいのよ!」

(山口優衣)「そう、私だって思うよ。何で皆、私の側にいてくれるんだって。」

(酒田昇)「当たり前のこと聞くんだねそれは彼女の全てが好きだからだよ」

(登歩田智)「こいつは俺達を救ってくれた。見返りも求めずにな」

(桐多龍希)「優衣は素敵な女性だよ。だから俺達は側にいる」

(横里朋美)「優衣ちゃん、皆と寝たんでしょ?どうやってまるめこんだの?」

(ももか)「朋美ちゃんがここまで性格が歪んでるとは思わなかった。」

今まで黙ってたももかちゃんが口を開いた。

(ももか)「寝ないと引き止められないような人とばかり付き合ってきたのね。みじめな人。ここに、朋美さんの居場所はあるの?」

(横里朋美)「なんなの?!皆して!最悪!」

そう言って部屋を出て行った。

(酒田昇)「気をつけた方がいいかもしれない」

(登歩田智)「ああ、逆恨みの可能性もありそうだな」

(桐多龍希)「なるべく優衣を1人にしないようにしよう」

嫌な予感は当たることになる。


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朝 学校

(ももか)「優衣さん!」

廊下から聞き覚えのある声が聞こえた。

(山口優衣)「ももかちゃん?!」

(ももか)「実は同じ学校なの。びっくりさせようと思って黙ってた!」

(登歩田智)「お、ももかじゃん!同じ学校だったんだな。ちょいちょい遊びに来いよ」

(ももか)「うん」

(女子生徒1)「先生に呼ばれてて、山口さんも呼ぶようにって」

(山口優衣)「そっか、分かった。ももかちゃんまた遊びに来てね!」

(ももか)「うん、また来るね」

(登歩田智)「…」

なんか空気がピリピリしてる。

女子が4人。職員室とは反対方向。校舎の裏庭で足を止めた。

…はめられた。

むぞうさに置かれたパイプを拾い上げる女子4人

(女子生徒2)「ずっと不満だったんだ、どうしてあなただけ酒田くんたちひとりじめしてるのか」

(山口優衣)「友達だもの、一緒にいるのは当たり前でしょ」

(女子生徒3)「そういうのがムカつくのよ!」

ガッ。痛っ。

肩に激痛が走った。次々にパイプを振り上げる。そして…ガッ!ッ痛…背中、脇腹激痛が走る。その時。

(横里朋美)「優衣ちゃん、どう?痛い?ふふ」

やっぱり、朋美ちゃんの仕業か。

(山口優衣)「…朋美ちゃ…んは…いいの?…見てるだけで…ああ、…バレた…時困るか…」

(横里朋美)「いちいちムカつくのよ!あんたは!」

落ちてるパイプを拾い上げ持ち上げた。そして私に向かって振り上げた。ガッ、肩に激痛が走る。

(山口優衣)「皆…出てきて…いいよ、ちゃんととれた…?」

(横里朋美)「え…」

隅から4人がでてきた。酒田くん、登歩田くん、桐多くん、ももかちゃん。

(酒田昇)「ラインの通りちゃんと動画撮ったよ…それより早く病院行かないと」

(登歩田智)「パンツ見えても許せ」

そう言って私をお姫様だっこをした。

(桐多龍希)「タクシー呼んでくる」

(ももか)「優衣さん…」

(山口優衣)「ももかちゃん、そんな顔しないで、大した怪我じゃないから」

そう言って微笑んだ。

(横里朋美)「いつ、いつ連絡したの?!」

(山口優衣)「呼び出されたときよ、4人もいたから違和感を感じたの、だから酒田くんに私のあとを追うようにラインを送ったの。何かあっても手は出さないでって。さすがにこんなに痛いとは思わなかったけど」

(桐多龍希)「大丈夫、あと残ったら俺が責任とるからね。」

(山口優衣)「ふふ、ありがとう」

そのあとはあまり覚えていなかった。気がつけば病院のベットの上だった。そして目の前に赤い髪…。

(山口優衣)「何でキスしているの?」

(桐多龍希)「あ、本当に目覚めた。おとぎ話も本当が混ざってるんだね」

柔らかい優しいキス…。

(山口優衣)「痛さで目が覚めたんだよ」

(登歩田智)「目覚めたか?売店で適当に物買ってきたぞ…ってなんだ!その至近距離は!」

(桐多龍希)「目覚めのキスした」

(山口優衣)「キスされた」

(登歩田智)「キス?!」

動揺を隠せない登歩田くん。

(桐多龍希)「キスくらいいいでしょ龍希だってお姫様だっこのときお尻触り放題だったでしょ?」

(登歩田智)「触ってねーし!山口!そんな目で見るな!本当だ!触ってねーって!」

(酒田昇)「ここ病院、静かに。」

そう言って酒田くんが部屋に入ってきた。

(酒田昇)「山口さん、骨折はしてないって、打撲だけだって、一応1日入院だって。大したことなくてよかった。横里さんは退学になったよ」

(山口優衣)「そっか、皆迷惑かけてごめんね」

(桐多龍希)「じゃぁそれぞれとデートしようよ」

(山口優衣)「デート?」

(酒田昇)「それいいね、1日デート、ちょうど明日から春休みだし。」

(登歩田智)「デ、デートって何すればいいんだ?」

(酒田昇)「それは自分で考える」

(桐多龍希)「じゃぁ退院したらデートね、順番はこっちで決めておくから。面会時間終わるからまた明日ね」

(山口優衣)「また明日」

朝退院

(酒田昇)「おはよう山口さん」

(山口優衣)「おはよう酒田くん」

(酒田昇)「1日目は俺ねよろしく」

(山口優衣)「うん…あ、制服のままだ、一回家に帰ってもいい?」

(酒田昇)「どうせなら買い物しようよ。色々まわりたいな」

(山口優衣)「うん、そうだね。行こうか」

(酒田昇)「じゃぁ手繋いで行こう、せっかくのデートだよ」

(山口優衣)「汗ばむよ?」

(酒田昇)「あはは、いいよ」目を細めて笑った。

バスに乗って着いたのは大きなショッピングモール。

(酒田昇)「これ、山口さんに似合いそうだよ、着てみて!」

(山口優衣)「う、うん」

今までにないテンションの酒田くん。

(山口優衣)「着てみたよ」

淡い青色の花柄のピンクのワンピース

(酒田昇)「似合ってる!すみません、これください。このまま着ていきます」

(店員)「ありがとうございます」

(店員)「そちら袋にお入れいたしますね」

制服を袋に入れてもらった。お金間に合うかな。

(酒田昇)「カードで」

(店員)「ありがとうございます。お値段は…」

え?!カード?!

(山口優衣)「私払うよ!」

(酒田昇)「今日はデート、こういうときは男が払うものだよ。さ、次は靴とバッグだね」

もしかしてお金持ち?!ダメージジーンズに白のワイシャツに黒のジャケット。モデルみたい…ふだんしないピアスもしている。青の石のピアスがキラキラ光っている。

結局全て酒田くんが払ってくれた。

(酒田昇)「すごく似合ってる」

(山口優衣)「ありがとう」

(酒田昇)「どういたしまして」

頭を優しく撫でられる。微笑み返すと

(酒田昇)「誘ってる?」

そう言って私を引き寄せ、きつく抱き寄せ、そたっと優しく顎を持ち上げて柔らかいものが触れた。

(酒田昇)「ごめんね、がまん出来なかった」

そしてまた唇を重ねた。…キス。

(山口優衣)「今日は楽しかった、ありがとう」

(酒田昇)「こちらこそ、ねぇ山口さん皆のデートが終わってからで良いから俺の彼女になってくれないかな。ずっと好きだった。本当の俺を知っても変わらない態度でいてくれた君が。」

(山口優衣)「酒田くん…」

(酒田昇)「考えておいて、あ、荷物あるしタクシーで帰ろうか」

朝、2日目

(登歩田智)「よ、よう!今日は俺とだ!」

(山口優衣)「うん」

(登歩田智)「て、手繋ぐか」

(山口優衣)「大丈夫?無理してない?恐くない?」

(登歩田智)「お前は別だ。緊張するが、恐くはない」

(山口優衣)「そっか!じゃぁはい!」

手を差し出した。

(登歩田智)「お、おう」

温かくて、大きな手が重なる。

(山口優衣)「どこいくの?」

(登歩田智)「ネコカフェ」

(山口優衣)「ネコ!?やった!ずっと行きたかったんだ!」

(登歩田智)「お前、スマホケースもペンケースも猫柄だもんな、俺も猫好きだし。家に二匹いるけど、いろんな種類の見たかったんだよ。で、ネコカフェにした。」

ネコカフェ

(店員)「いらっしゃいませー」

(山口優衣)「わぁ!猫ちゃんいっぱい!」

(登歩田智)「すげー!山口、山口、こいつ、めちゃくちゃブサイク!あはは」

(山口優衣)「本当だ!ぶさかわだ!」

あっという間に時間は過ぎた。

(登歩田智)「腹空いたな」

(山口優衣)「うん」

(登歩田智)「ここの近くに旨いラーメン屋あるんだよ!」

(山口優衣)「ラーメン食べたい!」

(登歩田智)「でもデートぽくないか?」

(山口優衣)「私ラーメン好きだよ、食べよ!」

(登歩田智)「お、おう!」

ラーメン屋

(店員)「お待たせしましたー!」

(山口優衣)「美味しそう!いただきます!」

美味しい…視線を感じ目を向けると登歩田くんが目を細めて微笑んでいた。

(山口優衣)「はぁー、美味しかった、えっと財布」

(登歩田智)「デートなんだからお前は今日1日一円もだすな」

(山口優衣)「ありがとう、ごちそうさま!」

(登歩田智)「おう!」

家まで送ってくれた。

(登歩田智)「山口、…俺、お前のおかげで今こうしていられる気がする。ずっと俺の側にいてくれないか?」

(山口優衣)「え?」

背を向け家に向かおうとしていた私は振り返った。するとふわりと香水の香りとともに温もりに包まれ、唇にも温もりを感じた。

(山口優衣)「キス…」

(登歩田智)「ほ、ほんきだ、桐多のデートが終わった後返事くれ、待ってる。じゃ。」

そう言って背を向け歩いていった。

朝3日目

(桐多龍希)「おはよ、優衣」

(山口優衣)「おはよう、桐多くん」

(桐多龍希)「ベタだけど遊園地行ってもいいかな?行ったことないんだ思い出が欲しくてさ」

(山口優衣)「うん!私もほとんど行ったことないから新鮮!行こう!」

バスで向かった。後ろの席で2人で並んで座った。着くまで自然と手を繋いでいた。つくまで何気ない話をした。

(桐多龍希)「優衣、手小さいね」

(山口優衣)「うん、よく言われる」

(桐多龍希)「はは、そっか」

遊園地に着いてからいろんな乗り物に乗った。2人で絶叫した。桐多くんのこんな顔始めてみた。高校生らしい顔。こっちの方が好き。

(山口優衣)「桐多くん。今の桐多くんの顔好き、とっても自然、ふふ」

(桐多龍希)「優衣が側にいてくれると自然と笑えるんだ。好きだよ優衣」

そう言って顔が近づいて思わず目をつぶると…柔らかい感触が唇に感じた。

(桐多龍希)「3人で話したんだ、返事は春休みの最後の日。これが俺たちが決めたこと。返事待ってるよ」

(山口優衣)「分かった」

休み明け

学校

私は本当は気になってる人がいた。まさか両思いだとは思わなくて、あのときは驚いて直ぐには返事ができなかった。キスも嬉しかった。でもその分2人には傷を付けてしまうことになる。それでも素直に答えることが今、私がやれることだと思う。

彼の元へ足を進める、私に気付いた彼は固まった。

(山口優衣)「おはよう登歩田くん」

(登歩田智)「おはよ…は?俺?!」

(山口優衣)「ふふ、そうだよ、私もずっと好きだったの」

(酒田昇)「よかったね智」

(桐多龍希)「俺は薄々気づいてたけどね」

(ももか)「優衣さん話聞いた、よかったね。」

(山口優衣)「ももかちゃんも来てくれてたんだ、ありがとう!」

(酒田昇)「山口さん、お返しのキスでもどう?」

(登歩田智)「な、なに言ってんだよ!」

(山口優衣)「確かにそうだね、登歩田くんそのままね」

(登歩田智)「は?!まてまて?!」

そっとおでこにキスをした。

(山口優衣)「口は2人っきりのときにね」

(桐多龍希)「優衣もなかなかやるね」

(ももか)「わたしの優衣さんが汚れる…」

(酒田昇)「はは、山口さんは誰と付き合おうとかわらないよ」

(ももか)「そっか、それならいいや」

不器用な彼氏が出来ました。


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