恋愛・結婚SS

普通の婚活~恋愛ショートストーリー


高校の同窓会で、15年ぶりに旧友達と食事をした。
女性陣だけで集ったので、当然話題は自然と誰それが結婚したの、彼氏と分かれたの、親がうるさいの、そんなものが中心になった。

10人ほど集まった我々の中にも勿論結婚して子どもを授かった者がいて、こんな集まりに参加するのを許してくれるなんて、理解ある旦那サマだねぇなどと言われていた。

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私はというと、かれこれ5年、彼氏なしで、一度は婚活らしき事をやってみた経験もあるが、どうにもしっくり来ず、そのまま放置して時だけが無情に流れてしまっていた。

彼氏もそうだし、婚活で出会う男性もそうなのだが、どうにも、何かが気になってしまうのだ。
条件的なところもそうだし、ルックスもそう、性格や好み、嗜好、趣味、何かしらちょっとしたことが気になり始めると、どうにも気持ちが向かなくなってしまう。

同窓会の帰り道、同じ方面へ帰っていく友人と電車に揺られながら、彼女が今付き合っている彼と結婚したいと話すのを聞いていた。あまり男っ気のないタイプなのに、彼とは結婚したいと思えるんだよね、と話すその顔には、文字通り何の迷いもなく、その人と生涯連れ添う事への確信が感じ取れた。

一方の私が、いちいち細かいところが気になって結婚を決断できずにここまで来てしまったと半ば愚痴っぽく伝えると、意外なことに「私もそうだったよ」と帰ってきた。

「ほら、私って惚れっぽくないじゃない?」と彼女は言う。

たしかにそうなのだ。彼女が惚れたハレたという、いわゆる「乙女モード」になっているのを見たことがない。

実際、彼と結婚したいなぁと思ってて、彼もそうだと信じてるから時間の問題かな、と話していた彼女も、乙女モードでお花が舞っているような雰囲気ではなかった。ただ、穏やかな幸せはしひしひと伝わってきたけれど。

「私も、気になっちゃうタイプでさ。しかも付き合うとか、そういう前の段階で既に色々引っかかっちゃって。それで結果、人を好きになれないというか、一線引いちゃうというか…」

「恋に盲目的にはなれないタイプだね」

そう引き継ぐと「そう、それそれ」と返ってきた。

「でも今の彼は、そういうところがないんだ。ないというか、正確には、気になったところは普通に指摘できるし、そもそもあんまりないって感じかな。なんか、似ていて欲しいところは似ていて、似ないで欲しいところは似てないんだよね」

そう分析する彼女はいたって冷静で、ゆえに言葉の重みを感じた。

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なるほど、似すぎているのも、よくないのか・・・。

「そもそも結婚願望があるのかどうなのか、分からなくなっちゃってさ」と、モヤモヤする気持ちを試しに彼女にぶつけてみると、冷静沈着な彼女らしい答えが返ってきた。

「私も、別に今したい!ってメラメラ燃えてるほど、結婚願望はないよ。でもこの前ニュースの特集で、結婚したいのにできない女性たちは、若い頃は結婚願望がなくて、独身を謳歌していて、それが40代とかになって急に寂しくなって相手を探すものの、年齢が枷になって殿方たちが相手にしてくれない、みたいなのをやっててさ」

「何ソレこわい・・・!」

「そう、なんだかんだ、男性って40近くなっても20代の女の子と結婚するパターンが多いじゃない?別に逆の年の差婚も、全然アリの世の中だけど、圧倒的に少ないよね。そうすると・・・」

「年増の女はもらい手つかず、か・・・。世知辛いねぇ・・・」

「うん、だからってわけじゃないけど、結婚したいしたい!!モードじゃなくても、この人と一緒に暮らしていったら上手く回りそう、みたいな人をゆるっと探してたんだよね」

「で、見つけたのが今の彼かー」

「そう。紹介してもらったんだ。共通の知人に」

ここまで話して下車駅に着いてしまったので、さよならし、ひとり歩く帰り道。
彼女は彼女なりに色々考えて相手探しをしていたのか、と思うと、自分もこのままではいけない気がしてきた。

親の言葉が今更胸に刺さる。

「あのね、結婚はしようと思ってないと、できないからね」

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確かに、流れに流されて結婚は、できないと思った。
性格が、これだからだ。

恋に盲目的になれず、相手の小さな事が気になるようでは、「好き」という気持ちだけで結婚に飛び込めるタイプではなかろう。
きちんと自分に合った相手を探さなくては、結婚はできない。

結婚したいかしたくないかと聞かれると、正直よく分からない。
分からないけれど、電車で一緒だった友人の言葉が呪詛のように脳裏にこびりついて離れない。

何年か後の未来に自分が何を望んでいるか分からないのならば、そして「一生結婚はしない」という確固たる人生プランが無いならば、ここでもうひと踏ん張りしてみても、いいんじゃないだろうか。

そういうわけで、私は人生二度目の婚活、はじめて「本気の」婚活に身を乗り出した。

ひと昔前の人たちは「お見合い」とか「縁談」とか、色々な話が舞い込んできて、親が色々とお膳立てしていたようだから、ちょっと羨ましい。しかし、自分は自分の納得のいく相手を見つけるんだ、と自らを奮い立たせる。

一回目にちょっとやってみた時は、手当たり次第に登録して、資料を取り寄せて、しかも業者さんに丸投げ状態だったため、紹介してもらう男性も今ひとつピンと来ず、鳴り止まぬ電話と何十件も届くメールに辟易してしまった。

今回は、そんな失敗はしない。

まずやるべくは、自分との対話。

自分がどんな人間なのか、どんな人生を歩み、そして幕を閉じたいのか、ひとまず勝手に「理想の伴侶」も登場させて、自分本位の「わがままライフプラン」を組み立ててみた。

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専業主婦にはなりたくない。
どこか外界と繋がりを持ち続けたい。
でも今の仕事はやめたい。
本当は語学を生かした仕事がしたい。
フリーランスで翻訳家になるのはどうだろう。
家で家事と育児をしながら、ネットで翻訳サービスを展開するのは?
必要があって依頼がくれば通訳もできる。
子どもは2人ほしいな。
私立には入れず公立で色々な人と交流してほしい。
でも高校や大学はお金の制限をかけずに好きな道に進んでほしい。
休日には家族でどこかに遊びにいきたい。
たまには海外旅行にも行きたい。

これが、私の理想的な人生設計かな、と思いつつ、頭に浮かんだものを五月雨式に書き出してみる。

「う~ん、見事なわがままライフ・・・」と呟いたが、いいのだ。これが、私のやりたい放題なのだから。

そして、物理的なマスト条件は?と自分に問うてみる。

まず、タバコは絶対NG。
お酒は自分も好きなので、下戸よりは飲めた方が良い。
でも大酒呑みは嫌。
動物嫌いもダメ。私はペットは飼わなくても良いけど、動物が好きだから、子どもが飼いたいと言い出したら叶えてやりたい。
あと、好き嫌いが多いのも嫌だな。理想は何でも食べる人。
ギャンブルしないのは勿論必須条件。

うーん、自分の中ではあたりまえの条件なんだけど、ちょっと厳しいかなぁ・・・。

反対に、これは構わないというものも、書き出してみる。

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転勤族でもOK
うちには兄もいるから、ご両親と同居もOK(でも仲良くなれれば良いな、という条件つきだけど・・・)
海外転勤は大歓迎。なくても問題ないけれど
土日がお休みでなくても、勤務時間が多少不規則でも、あまり気にしない

これは、我ながら、結構良い条件だと思う。
このあたり、嫌がる女性も多いだろう。

それから趣味。

私が好きなのは旅行。それも、なるべくお金をかけないバックパックトラベルのような類に近い旅行。

でもこれは同じ趣味でなくても構わない。ただ、海外に一度も行ったことがないし、これからも行きたくないです、という人は嫌だな…。

許せない趣味はギャンブルとタバコぐらいだけれど、お金をつぎ込みすぎる人や、自分にも強要してくる人は嫌だな。

こんな事を紙に書き出す。

そして、いざ、まずは手軽に始められるインターネット登録の婚活サイトからアプローチしていく。

紙に書き出した条件があったため、すらすらと入力できたが、年齢の幅や年収など、そういえば盲点だったという条件がいくつが出てきたので、あらためて色々真剣に考えながら設定した。

最初にひやかしでやった時はこんなに真剣に細かく入力しなかったなぁと思いながらも、こんな細かい条件に合う人なんているのかな、と不安がよぎった。

しかしそんな小さな不安はあっという間に吹き飛ばされた。

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世の中には本当に星の数ほど男性がいるもので、マッチングサイトや、仲介業者さんから、複数の紹介があった。

それでも以前の時とは違って、登録する媒体も、条件も相当絞ったので、目が回るほどの紹介ではなく、相手の方のプロフィールをじっくり読んで、連絡を取ってみるか、会ってみるか、検討する事ができた。

それに何よりも、今回は私のやる気が違う。
本気を出すのと、片手間でやるのでは、こんなに違うものかと我ながら驚いた。

総合すると実に100名以上の男性からアプローチがあったらしいのだが、私が連絡を取ってみる事を検討した男性は20名。何度かメールのラリーをして、そこから更に8名まで絞られた。

不思議なもので、「会ってみなくちゃ分からない」とは確かに言うものの、会うまでもなく「あ、この人、なんか違う」とメールのやりとりだけでも透けて見えてくるらしい。

物理的な条件が合った上で「旅行に興味があって」と連絡してきた男性は、ふたを開けてみたら国内のツーリングが趣味で海外には全く興味がなく「海外って憧れちゃうなぁ。いつかヨーロッパに旅行するのが夢なんです」とのたまったあげく「でも海外って怖くて・・・」と送ってきたので、もうそこでラリーは終わらせることにした。

最初は細々した連絡を「マメな人だなぁ」と感じていた男性も、あまりにも返信が早く、内容がどんどん細かくなっていくにつれ「面倒だなぁ」と感じるようになり、「きっとこの人と一緒になったら小さな事とか色々気にしそうで面倒なことになるに違いない」と確信に変わり、会ってみないかという誘いは断った。

他にも、言葉の端々から感じ取られる性格の違いや、ちょっとした瞬間に見える価値観の違いを文面から感じて、結果的に8名の男性と、それぞれ会ってみる事にしたのだった。

会ったら、会ったで、また印象が変わってくるものだ。

でも8名の男性たちは、メールのやりとりの印象とそう大差なかった。つむぎ出す言葉って如実に人となりを表すんだ…と実感した。

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どちらかというと、丁寧なやりとりをしてくれた方は、イメージ通りで、ちょっとぶっきらぼうかな、という印象の人は予想外に良い人だったという印象が強かった。おそらく、口下手なタイプの人は言葉に気持ちを乗せるのが苦手なんだろう。

だから、8名の男性に関しては、メールの印象と実際会った印象で、「この人最有力候補かも」という人物が変わった。メールでは簡潔で少しそっけないかな、と思って「この人には実際に会ってみないと分からない」と思っていた人の印象が一番良かったのだ。

印象も良かったし、何よりも話が早かった。

お互い「結婚相手を探している」と分かった上でのやりとりだったので、会って早々に具体的な話に入り、スピーディーに互いの理想や要望の話ができた。かといって、ビジネスライクなだけでなく、他愛ない会話のはしばしにも、例の「気になる」というポイントも見当たらず、数回食事をしたり、デートに出かけても、努めて自然体でいようとする私を丸ごと受け入れてくれた。

他の方々には、あったのだ。「気になる」ポイントが、確かに。
大小の差はあれど、「ん…」と思ってしまうポイントが。

そして、言動には一切気になるところのなかった最後に残った彼にも1つだけ、メールの返信があまりにも早いという「気になる」ポイントがあったのだが、初めて会ったその日に「自分、メールの返信がとても早いと自覚してるんですが、ご自身のペースで返してくだされば大丈夫なんで」と言ってくれて、帳消しになった。

その後も、お互い、気になるところは言っていこうという方針で話がまとまり、ようやく私の不安が晴れる相手が見つかったのだ。

友人も言っていたが、気になるところは誰にだってあるけれど、それを気兼ねなく指摘しあって、両者自然体でいられるような、そんな相手が見つかれば、その人はまさに結婚すべき相手なのだろう。

私も、本気を出して自分と向き合い、沢山の男性とやり取りし、ようやく「この人となら」と思える人に巡り会えた。

人間、やればできるもんだなぁ、と思いながら、運命という言葉はあまり好きではないけれど、これが「縁」ってやつなのかねぇなどとぼんやり思いながら、真剣に将来の住まいの間取り図を眺める彼の横顔を眺めてにやけてしまった。

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