恋愛・恋活

神様の縁結び 縁結び神社の効果


日本各地に点在している名高い縁結び神社。
どうやらその神様たちは、結構荒業で悪名高くもあるらしい。

友人からどこそこの縁切り縁結び神社に参拝したら、その時付き合ってた彼氏が浮気して別れるに至り、その直後にまったく気にもとめていなかった先輩から告白され、1年付き合った後順風満帆で結婚し、嫌々働いていた会社は辞め、今や二児の母として専業主婦を謳歌しているという話を聞き、効果は確かだよ!と言われたものの、浮気した元彼と別れた時の修羅場をそばで見てきた私からすると、何というか、神様は強引というか、荒業だなぁと思ってしまった。

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そんな私は今は彼氏もおらず、独り身を満喫していた。
3年前に当時付き合っていた彼と別れて(念の為に言っておくが、当方は修羅場にはならず円満に別れた)独り身になり、知ってしまったのだ、独りのラクさと楽しさに。

丁度年齢が26歳だったというのもあり、結婚している友人はそこそこいたけれど、まだ独身も多く、遊んでくれる仲間には恵まれ、仕事も楽しくなりはじめた頃で、休日には自分のやりたい事をやりたいようにやり、人生満喫していた。
なんといっても、時間もお金も全て自分のために使えるという事に、今までの節約や我慢は一体何だったんだ!と目が覚めてしまったのだ。
これはキケンだぞ、と思いながらも、まだまだ若いから、と自分を納得させて気付いたら3年、立派なアラサーになってしまった。

確かに、最近、少し寂しいというか、人肌恋しいというか、ふとそんな事を思うようになっていた。
しかし、よく学生時代に言われた「社会人になると本当に出会いの機会が無くなるよ」という先輩たちの言葉の通り、いつも同じ面子としか会っていない今の生活で、新しい出会いは全く期待できなかった。
かといって昔馴染みに恋仲になれそうな顔も思い当たらず、しかしまだ婚活に本気を出すほどでもなく、という心情だった。

そんな私を見ていて、友人の方がやきもきしていたらしい。
何でも良いから、とにかく神頼みのひとつでもしてこい、と私ともう一人の独り身アラサー女性を連れて、縁結び神社へ出かけるという事になった。

うん、まだ大丈夫、かな。
と思いつつも、まだ学生さんのような女子の集団がキャッキャしているのを横目で見ていると、割と良い歳した大人の女性が縁結びに訪れるのはちょっとばかり気恥ずかしいような気もした。

もう一人、連行された友人は、割と乗り気で「彼氏ほしい」が口癖だったので、周りの目など全く気にせず「神頼みでも何でも良いわ。縁がありますように」とはしゃいでいる。

境内は女性で賑わっていたが、男性もちらほらと見られた。
中にはカップルのような男女も訪れていて「縁結び神社なのに大丈夫なのかな」などと余計な心配をしてしまった。

「恋愛の縁だけじゃないからね。縁って。就職とか、進学とか、異性でなくても縁って言うしね」
と我々を連れてきた女性は言った。

「私と一緒に縁切り縁結びの神社に行った人は、ずっと嫌がってた上司が会社で不祥事起こして飛ばされて、新しく入社してきた上司と超仲良くなったって。女性同士の話なんだけど」

やっぱり神様は荒業だ…。

私は今のところ仕事や職場に不満はないし、友人にも恵まれていると思っていたので、やっぱり恋愛に効果を期待するか、と思いながら参拝した。

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参拝方法はよく分からなかったが、賽銭箱の横にやり方が書いてあったので、それに則る。
隣では、彼氏の欲しい友人が神妙な面持ちで手を合わせていた。

帰りに「折角だから」とおみくじを引き、お守りを買おうという話になった。

実はおみくじや占いがあまり得意ではない私。
つい、信じてしまうのだ。

熱狂的信者ではないので、悪い結果が出ても、良い結果でも、気に留めないように努めてはいるのだが、ふとした瞬間に脳裏に言霊がよみがえってくる、あの感覚が苦手だった。

とはいえ、やる気満々な2人の友人の気分を害さないよう、勇気を出して引いてみる。

ドギマギしながらおみくじを開いてみると、「末吉」だった。

「び…微妙…」
と顔をしかめていると、横から彼氏がほしい友人が「待ち人は?」と首を突っ込んできた。

「おとづれなく来る」

そう読み上げると「来るの?来ないの?」と首をかしげた。

「ちょっとあんたたち、待ち人って恋人の事じゃないからね」
すかさず我々の引率者である友人が突っ込みをいれる。

「待ち人っていうのは、人生の転機のキーパーソンの事。おとづれなく来るっていうのは、前触れもなく突然やって来るって事。もしかしたら恋人や旦那になり得る人かもしれないし、そうじゃないかもしれないの。それより、恋愛と縁談のところ、見なきゃダメよ」

なるほど、よくご存知で、と思いつつ、恋愛と縁談の欄に目を移す。

「恋愛のところ、”諦めないこと”って書いてあるんだけど…私片思いしてないし…。縁談は、”待てば吉”だって」
私は読み上げながら首をひねった。

「神様、ダメだ、私は理解できません」
隣ではもう一人連れて来られた友人も何やら読み上げて感想を述べている。

「恋愛は”うまくいく”、縁談は”待てば吉”だって。よし!私”吉”だったんだよね」
という事は、自分からガツガツ行かずに待てば良いという事か。

「縁談のところは2人同じだったね~。結局組み合わせだからね。あんまり気にしすぎちゃダメだよ」
引率者はそう言って、自分も末吉だったよ、と言いながらおみくじを括りつけた。

それから、私たちは恋愛成就の、あまり若々しすぎないデザインのお守りを購入した。
若々しいデザインは、本当に、いかにも中高生向きという雰囲気で、淡いピンクにラメが入ってハートマークまであしらってあったので、さすがに手が伸びなかった。

シックな深い紅色に金刺繍で「恋愛成就」とあしらってあるものをカバンに入れて、神社を後にした。

それにしても私には神様は一体何が言いたかったんだろう。
「諦めずに待ってなさい」って事かな。それならそんなにラクな事はないんだけれど。

そんな事を思いながら布団に潜り込んだ私の頭からは、すっかり「待ち人はおとづれなく来る」というお告げが抜け落ちてしまっていた。

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それから数日たっても、数週間たっても、特に身の回りに変化は訪れず、もはや神社にお参りに行ったことも忘れるくらいの頃、彼氏が欲しいと言っていた友人に彼氏ができたというニュースが飛び込んできた。

「お参りの効果かどうか分かんないけど、本当に彼氏ができるなんて思ってもみなかったから、ちょっとビックリしてるけど、楽しいよ~」
という連絡がきて、私は素直に喜んだ。

あれだけ彼氏をほしがっていた友人だから、それはそれは幸せだろう。
それで、私はどうなんだろう、といったような事は全く考えなかった。

私はちょうどその頃、恋愛などしている場合ではない事態に巻き込まれていたのだ。

仕事で大きな企業と関ることになり、てんてこまいな毎日を過ごしていた。
クライアント側の重役と打ち合わせをする事もあり、責任を感じつつも、やりがいもあり、完全に仕事人間になっていた。

ある日、上司にクライアントを連れて接待に行って来いと命がくだった。
そこまで任せてもらえるようになった嬉さと、会社の経費で高級レストランの料理にありつける幸せと、それと天秤にかけてぐらつくぐらいの緊張と、色々な思いを抱えながら接待に臨んだ。

そこで私は大事件に巻き込まれる事になる。
酒に酔って口が軽くなった相手の口からとんでもない話を聞いてしまったのだ。

要約すると、クライアント側の不祥事というか、内部告発というか、今大変な事態になっていて倒産するのも時間の問題かもしれないという内容だった。

流石にどこかで理性がはたらいていたのか、うっかり漏らしてしまった直後に「あ」という表情になり、それから不自然に話題を変えられてしまったのだが、私はその「うっかり」を見逃さず、翌日早速上司に報告と相談をした。

最初こそ半信半疑だった上司も、念の為調べるに越したことはないと行動を起こしてくれた。

しかし先方も先方で、なかなかボロを出さない。

長い戦いが始まった。私は上司と協力しながらどうにか先方の抱えている真実をあばこうとした。上司のつてで様々な職業の人にも力を借りながら、結局先方の問題を確固たるものにするのに半年もかかった。

結局そのクライアントとの取引は急遽取りやめる事になり、一件落着。

接待した時に秘密を聞きだしてしまった事には当然何のおとがめもなかったが、逆に会社を危機から救ったというお褒めの言葉も頂けず(なにせ極秘の事象だったので)、個人的にはモヤっとした気持ちが残った。
そんな私の気持ちを察してか、上司が食事をご馳走したいと言いだしたので、素直にその申し出を受けた。

上司に連れて行かれたのは、いわゆる普通の居酒屋だったが、私には高級レストランよりも、こういった店の方が肩肘張らず合ってるな、と思いつつ、上司と酒を酌み交わしながら色々な話に花を咲かせた。
そこで上司が「折角だからあのゴタゴタで協力してくれた弁護士のアイツも呼ぼう」と言い、上司の友人(大学の後輩だったらしい)を呼び出した。

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しかし、なかなか現れない。

「あんまり遠い距離じゃないんだけど…」
と心配そうにする上司と2人で待ち続け、呼び出してから1時間も経ってから姿を現した彼は、なんだかとても急いで来たような雰囲気だった。

「お前、何やってたんだよ」
上司が突っ込むと「いやぁ、先輩だけなら普通にそのまま来たんすけど、ほら、女性の前でずぼらな姿を見せるわけには…」と頭をかいた。

「なんだよ、お前、うちのスーパーできる社員に惚れたってのか?結婚しても寿退社はさせんからな」
すっかり出来上がった上司は勝手に妄想してそう突っかかった。

「すいませんね、このヨッパライが…」
と苦笑いしながら、隣に座った彼に、ちょっとドキっとしてしまった自分に気付いて驚く。

「いえいえ、こちらこそ。突然呼び出しちゃって」
そう言うと「あなたがいらっしゃるって言うもんで、着ちゃいました。身なり整えてたら遅くなっちゃって…」と返されたので、社交辞令と分かっていても照れる。

と、突然上司が「帰る」と言いだした。

「え、今来たばかりなのに!?」
と驚く我々をよそに「じゃあな」と1万円札を2枚置いて消えてしまった。

「す…すみません…」
呆然として謝る私をよそに、彼はなぜか爆笑している。

「先輩らしいなぁ」
と言いながら、「あれでも後輩たちに慕われてたんすよ」と笑った。

「うん、とても良い上司だと思います。が」

「”が”、ね」

「そう、”が”、飲むとあのテンションなんですよね」

「学生の頃から変わりませんね」

そして、2人で仕切りなおす事にした。

ゴタゴタに巻き込まれている時には、本当に仕事の話しかしなかったので、プライベートの話ははじめて交わしたが、年齢差は少しあれど、独身で、堅い職業に就いていて、人当たりも良く、こんな良い人なかなかいないよなぁ、などと思いながら、好意なのか、それともただの品定めなのか、自分でもよく分からなくなってしまった。

その日はそのまま解散になったが「今度ちゃんと日を改めて食事にでも行きませんか」と別れ際に言われて、なんとなく、あ、このまま上手くいくパターンかもしれない、と直感した。

そして、それから何度か食事をし、デートにも出かけ、告白され付き合う事となり、その1年半後にめでたくプロポーズされるに至った。

結婚式にはもちろん上司を招待したが、酔っ払って「絶対寿退社すんなよ」と念を押された。

あの時わざと先に帰ったのか、それともただの偶然だったのか、聞こうと思ったけれど、どうせ覚えてないだろうなと思い、何も言わなかったが、いずれにせよ、上司がキューピッド的な役を果たしたのは間違いなかった。

そこで私は不意に「おとづれなく来る」待ち人が上司だったのかも、と思い当たった。

いや、しかし、上司とは既に長い付き合いだったから、もしかして、あの問題のクライアントだったのかな、とも思った。

そうなると、縁結び神社に行ったのも、なんだか効果があったような気がするし、人を大きな問題に巻き込んでおいて縁結びに繋げるなんて、神様はやっぱり荒業だな、と苦笑いしてしまった。

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